ある学校のトイレに出るという幽霊の話
ある学校でトイレに幽霊が出るという噂(うわさ)がありました。それによると、放課後の午後4時ちょうどにトイレに入ると、幽霊が出るというものでした。だから、生徒はみんな午後4時になると、だれもトイレに行きませんでした。
しかし、太郎君は、そんな噂は信じませんでした。勇気のある太郎君は、わざと午後4時にトイレに入ってやろうと、ある日、時計を見ながら、午後4時になるとトイレに行きました。
トイレに行ってみると、トイレの前におかっぱ頭の女の子が立っていました。
「今、午後4時だからトイレに入らない方がいいよ。」
そう女の子は忠告しました。
「ありがとう。」
太郎君は、その女の子を知らないので、聞きました。
「君はどこのクラスなの?」
「隣の四組。四年四組よ。」
「ふ〜ん。」
太郎君はそう言って、トイレに入って行きました。しかし、幽霊なんていません。
太郎君は用をたすと、自分のクラスの教室に戻りました。そして、まだ教室にいた他の生徒に言いました。
「やっぱりトイレに幽霊なんて出ないよ。4時に行ったけれど何にも出なかった。」
翌日、太郎君は学校に来ると、昨日トイレで声をかけてくれた女の子を捜しました。しかし四年四組に行っても、その子は見あたりません。
そこでそのクラスの女の子を一人捕まえて、おかっぱ頭の女の子はどこにいるのか聞いてみました。
「そんな子いないよ。」
その後、四年四組のある女の子が、昔、交通事故で死んだと言うことを太郎君は知りました。その子の髪型がおかっぱ頭だったと言うことでした。
それ以来、太郎君は学校で午後4時にトイレに行くことはなくなりました。